トピックス・アーカイブ
2024年11月25日
101の「平年並み」に低下、作付面積は前年を1・7万㌶上回るも来年6月末在庫158万㌧見込み
(令和6年産米の10月25日現在作況)
農水省は19日、10月25日現在でみた令和6年産水稲の作柄・予想収穫量等を発表した。関東・東海や西の晩生地域・九州等を中心に作柄の下方修正があり、全国作況指数は前回102から101に低下。豊作指数ではなくなり、令和以降6年連続の「平年並み」作柄がほぼ確定した。主食用予想収穫量は679万2000㌧で、主食用作付け増などから7月指針669万㌧に対して約10万㌧増、前年比では約18万㌧(2・8%)増となる半面、作柄低下で前回比4万1000㌧の下振れが起こり、7年6月末民間在庫量は158万㌧となる見通し。令和コメ騒動直前の時期でもあった今年6月末の在庫量153万㌧に次いで、統計のある平成11年以降で2番目に少ない160㌧割れが2年続くことになり、引き続きタイトな需給状況が見込まれる。
農水省の作柄調査で作況指数の基準となる農家使用ふるい目幅収量(都道府県別に1・80~1・90㍉)は全国値519㌔。平年収量513㌔を6㌔上回るものの、前回(521㌔)から2㌔減少したことで作況101の平年作へと下方修正された。
今年は夏~秋にかけて東日本太平洋側と九州など西日本の猛暑・残暑が顕著だった中、農業地域別作況指数では東海が前回から1㌽低下(99→98)し、全国唯一の不作地域に。九州は平年作指数こそ保ったものの、晩生などを中心に記録的高温の影響などから不作県が増え、1㌽の引き下げ(100→99)があった。前回作柄と同様、北海道と東北、関東・東山、沖縄は豊作地域となった。
都道府県の作柄内訳は次の通り。▽「良」=宮城107(全国最高)、岩手106の2県▽「やや良」=北海道・青森・茨城・千葉・京都・山口など15道府県(前回19道府県)▽「平年並み」21都府県(同19都県)▽「やや不良」=山形・埼玉・新潟・静岡(全国最低の95)・福岡・宮崎・鹿児島など9県(同7県)。豊作産地が減り、平年作~不作産地が増えている。
前回9月25日現在からの減少数量をみても、九州は1万6600㌧(2・4%)減と際立つ。九州では8月中~下旬に出穂し、9~10月にかけて登熟・稲刈りを迎えるヒノヒカリなど晩生品種が多い中、とくに9月以降の猛烈残暑や熱帯夜登熟等が長引き、高温による登熟不良に起因する不作・減収や白未熟多発など高温障害を助長したとみられている。
主食用作付面積は東北・関東を中心に前年から1万7000㌶(1・4%)増加し、前回調査と同じ125万9000㌶で確定。これに収穫量の基準となる1・70㍉ベースの10㌃予想収量(全国値540㌔)を乗じた主食用予想収穫量は約679万㌧。農水省10月指針に最新の10月25日現在収穫量679万㌧を当てはめると、7年6月末民間在庫量見通しは158万㌧が見込まれる。
米価上昇の反動を踏まえ、過去最大規模となる前年比31万㌧の需要減(5/6年705万㌧→6/7年674万㌧)を織り込んだ上での需給見通しだが、それでも1年後の6月末在庫は160万㌧割れに。令和コメ騒動直前の今年6月末153万㌧から「+5万㌧」しか余裕がなく、これまで需給均衡ラインの下限と目されてきた180万㌧にも20万㌧以上届かない状況が続く。
2024年10月18日
102の「やや良」、作付面積は前年産を1・7万㌶上回る
(令和6年産米の9月25日現在作況)
農水省は11日、9月25日現在でみた令和6年産水稲の作柄概況を発表した。全国作況102「やや良」を見込んでいる。コメ需要増などで北日本を中心に主食用回帰・増産志向が強まっていた中、主食用作付けが前年比1万7000㌶も増えていたほか、北日本を中心とする豊作見込みが濃厚となった。
農業地域別では北海道と東北が103(沖縄も103)、関東・東山が102で「やや良」の豊作地域となった。都道府県別では、▽作況106以上「良」=岩手・宮城の2県▽102~105「やや良」=青森・秋田・福島・茨城・千葉・広島・熊本など19道府県▽99~101「平年並み」=19都県▽95~98「やや不良」=山形・新潟・福岡・佐賀など7県。
北海道は6年連続豊作(103~108=平均105)となり、道内全9地帯が「やや良~良」の豊作に。東北では太平洋側の岩手・宮城で顕著な豊作が見込まれる。一方、東北でも山形は97「やや不良」。7月下旬の記録的大雨で水稲冠水・土砂流入など深刻な影響を受けた最上と庄内がいずれも94「不良」に落ち込んだ。山形に隣接する全国最大コメ産地・新潟も98「やや不良」見込みで、佐渡95、下越97が見込まれる。
なお、東北最大コメ産地・秋田でも大雨被害が発生したが、9月作柄は102「やや良」。同県では全農秋田県本部が7月大雨等による不作減収と再生産を理由に概算金再引き上げに踏み切った状況があり、農水作況と現場の作柄実態の捉え方にギャップがみられる。
8月作柄では全国唯一「良」(106以上)の大豊作が見込まれていた青森も、9月作柄では103「やや良」にとどまった。
なお、全国作付けの3割を占める東北の9月25日現在刈取済み面積は、猛暑で生育が早い年でも5割前後にとどまる。台風や秋雨前線の影響など秋の天候不良による刈り遅れ影響が聞かれ、作況基準収量が全国値で1㌔以上落ち、「豊作→平年作」に下方修正される可能性がある。一方で東・西日本では10月半ばになっても残暑が続き、西日本遅場作柄等を上振れさせる可能性もはらむ。
6年産主食用作付面積は125万9000㌶で、前年を1万7000㌶(1・4%)も上回った。主食用作付けが前年を上回ったのは、国による生産目標配分廃止初年度となった平成30年産以来6年ぶりのことで、令和では初めて。
主食用作付面積に過去最高タイの10㌃予想収量544㌔(1・70㍉基準)を乗じた主食用予想収穫量は約683万㌧。農水省が示した6年6月末民間在庫量156万㌧に683万㌧を足し、6年7月/7年6月の年間需要見込み673万㌧を差し引くと、7年6月末在庫量見通しは約166万㌧。基本指針152万㌧を14万㌧ほど上回る。今年6月末より10万㌧ほど多いものの、需給均衡ラインとされてきた180~200万㌧を大きく割り込む状況が2年続く。
2024年9月24日
前年比60kg4~5000円引上げ主流も、先行相場2万5000円強が集荷に影響
(令和6年産米の集荷価格)
令和6年産米の概算金・仮渡し価格・買取価格など農協系統組織による集荷価格は、北海道・東北・関東・東海・近畿などで提示がほぼ出揃った。5年産がインバウンド(訪日外国人旅行者)需要や南海トラフ地震臨時情報などの影響による消費者の〝買い溜め〟などの仮需要によって供給が不安定となり、業者間取引価格が高騰した環境下、6年産の集荷価格は、前年産比で60㌔4000~5000円の引き上げが主流だ。
新潟一般・富山コシヒカリの概算金は、前年比で3000円程度の引き上げで他県産と比べて抑制気味だが、北海道・東北・東海・中四国産は4000円以上の引き上げ幅が多くみられる。
2万円の高値で提示が始まった九州産早期コシの生産者概算金が第3期でも前年比7000円高に。茨城・滋賀コシの生産者概算金が前年比5000円高ほどの水準。九州産早期米の高値が飛び火した形となった関東産の買取価格では、千葉・茨城コシや茨城あきたこまちが2万円台前半での提示となり、集荷競争の苛烈さを物語っている
早期米産地とは異なり、通年供給銘柄を多く抱える主産地の筆頭銘柄となる新潟一般コシのJA仮渡し価格が1万7000円と決定され、これに続く北海道・東北・北陸産の主要銘柄の多くが1万6000円台の居所を占める設定となった。
一方、主産地銘柄の本格的な出回りに伴い、市中取引が活発化しているが、スタート時点の通り相場は2万5000円台(青森まっしぐら・山形はえぬきなど)~2万7000円台(北海道ゆめぴりか)と高い水準。5年産の業者間取引価格の高騰をそのまま引きずった相場が形成されている。概算金を1万円超える相場がザラにみられる。
こうした状況は、今後出回りがいっそう本格化する主産地における庭先相場にも色濃く影響していくことが確実と予想される。いくつかの産地がこれまでに概算金の追加引き上げに踏み切っているが、実勢相場との乖離が著しい。
系統集荷が強い産地にあっても、集荷率の低下は避けがたいとみられる。
2024年8月9日
6月在庫過去最少156㌧ 加工用には8月20日に備蓄米入札販売
(農水省が食糧部会で需給見通し)
農水省は7月30日、主食用米の需給を判断する上で指標となる6月末現在の民間在庫量を156万㌧と示した。これは前年同期の実績を41万㌧(20・8%)下回り、統計を取り始めた平成1年以降で過去最少。
5年産米の1等比率低下に伴う精米歩留りの低下、価格が大きく上昇しているパン・麺類などに比べた値頃感やインバウンドの増加などで需要量が10年ぶりに前年を上回った結果だが、農水省は需要量に対する在庫率(2・2%)からみて「主食用米の需給逼迫」を否定。
今年7月以降の年間需要量については、1人当たり推計の消費量を人口に乗じる基本指針の手法で29万㌧(4・1%)減の673万㌧と算出。6年産の生産量は前年並みの作付面積で平年作の場合の669万㌧と仮置きし、在庫量十生産量の供給量から需要量を差し引いた来年6月末の民間在庫量を4万㌧(2・6%)減の152万㌧と見通している。
その一方で加工原材料向けには政府備蓄米のうち令和2年産1万㌧を8月中下旬に競争入札で販売する方針を明らかにし、需給見通しを示した基本指針の策定とともに食糧部会の了承を得た。
具体的には、令和2年産政府備蓄米(水稲うるち玄米1〜2等)1万㌧を対象とする。販売対象者は「加工原材料用の買受資格を有する者」であって、「今回の政府備蓄米購入契約数量以上に令和7年産加工用米の購入を希望する者」と定めている。
販売手法は最低販売価格を設定した競争入札。今月上旬に第1回公告を行い、中・下旬頃から対象数量を数回に分けて入札を実施していく。第1回入札は8月20日に実施する予定。
2024年7月16日
8月13日から「堂島コメ平均」を先物取引市場に上場
(㈱堂島取引所が取引開始へ)
農水大臣と経産大臣による「米穀指数先物取引」本上場認可を受けて㈱堂島取引所は先ごろ、大阪市西区の本社内で記者発表会を開き、取引の概要などを説明した。8月中旬の開設・上場を予定している新たなコメ先物取引市場は、特定の産地品種銘柄ではなく、毎月公表されている農水省の相対取引価格(総加重平均)と米穀機構のDI値から算出した全国平均の将来価格指数が取引の対象。偶月の6限月制で1年先までの取引を行う。コメの現物受け渡しは行わない。
新たに開設されるのは現物受け渡しを伴わない価格指数の市場。株取引の世界では、特定の銘柄を指さない「日経平均株価」が株式売買全体の動向を表す指標として存在するが、それに似たイメージのものとなる。
堂島取引所は、農水省が毎月公表している相対取引価格(産地品種銘柄の総加重平均価格)などを基に、全国の「平均米価」を算出。コメ指数先物取引(愛称1堂島コメ平均)の対象となる平均価格に利用する。先物の最終決済数値として採用する平均米価は、取引所が毎月末にホームページで公表していく「現物コメ指数」をベースとする。
米穀指数市場「堂島コメ平均」の取引は60㌔当たり10円刻みの呼び値で、取引単位は3㌧。奇数月の第1営業日が新甫発会で、1年以内の偶数月が限月となる。2月限から年間6回の限月が設定される。取引は最終決済日に転売または買い戻しで終了し、現物受け渡しは行わない。
新社長に就任した有我渉氏は発表会の席上、先物取引の本上場認可について「取引所の悲願だった」と指摘。「生産者や当事者の意を汲み、国益にかなうように体制の強化を図っていく。関係する皆さんに親しみを持ってもらえるよう努める」と抱負を語った。
堂島取引所は、8月13日から「堂島コメ平均」を先物取引市場に上場し、取引を開始する予定だ。
2024年6月16日
主食用米「増加傾向」5→11県にほぼ倍増
(4月末6年産作付動向調査)
農水省は5月30日、令和6年産米などの作付意向(第2回中間的取組状況)調査の結果を発表。4月末で5年産実績比で主食用米は「減少傾向」が11県、「前年並み」が25県だが、「増加傾向」を示す県が11県となり、前回(1月末)から6県増え、ほぼ倍増に。
6年産主食用米の作付動向は、5年産実績比で▽減少傾向(1%超減少)=兵庫・島根・香川・宮崎・鹿児島など西日本を中心に11県▽前年並み(増減1%以内)=岩手・秋田・山形・埼玉・新潟・富山・長野・高知・熊本など主産地を含めた25県▽増加傾向(1%超増加)=北海道・青森・宮城・福島・茨城・栃木・群馬・千葉・福井・愛知・徳島の11県。作付意向の段階とはいえ、主産地が「増加傾向」、事実上の増産に移行している。
主食用米以外の戦略作物(飼料用米、麦・大豆など)では、「増加傾向」または「前年並み」の傾向を示す県が最も多い。飼料用米では、「前年並み」か、むしろ「減少傾向」の県が多い。
戦略作物別に「増加傾向」の県が最も多い品目では、▽加工用米20県▽WCS(稲発酵粗飼料稲)25県▽米粉用米20県▽新市場開拓(=輸出)用米26県▽麦24県――となっている。
一方、飼料用米は「減少傾向」を示す産地が1月末から11県増えて36県に拡大。飼料用米が「増加傾向」にある産地は、香川しかない。WCSへの移行が要因のひとつと考えられるが、主食用米価格の上昇による主食用米生産への復帰の動きが大きいとみられる。
農水省による令和6/7年(6年7月~7年6月)の主食用米の需給見通しでは、年間の需要量を670万tと見込み、6年6月末の在庫見込量177万tと併せて供給することとなる6年産主食用米の生産量を5年産並みの669万tと置いている。
本紙試算では、今回の4月末現在における都道府県別の主食用米の作付動向から、5年産の作付実績124万2000haとの比較で3000~1万haほどの作付増が推定される。これは数量換算で1万6000~5万5000t程度の増加に相当する。ただし、これは「1%超増加」を「1・4%増」までに抑えた場合の試算。産地によってこれを上回る比率の作付けがあれば、増加数量はさらに上回る。
2024年5月16日
前年比で36万t少ない215万tに
(3月末コメ民間在庫)
農水省はこのたび、水稲うるち米の3月末における民間のコメ在庫を全国の合計で215万tと発表した。前年同月末より36万t(14%)少ない。
3月末在庫のうち5年産は195万tで、前年同月の4年産と比べて22万t(10%)減少している。平成24年以降の12年間の統計で3月末在庫として初めて200万tの大台を割った。1年古米の4年産は13万tで、前年同月の3年産よりも8万t(38%)減少。年産を特定できない未検査米が7万tあるが、前年同月より6万t(46%)少なく、ほぼ半減している。
全農・道県出荷組合など出荷段階の在庫は171万tとなり、前年同月より33万t(16%)少ない。このうち5年産が163万tで、前年同月の4年産より22万t(12%)減少。4年産古米の在庫は6万tで、前年比で8万t(57%)減少している。未検査米が2万tあるが、前年同月より3万t(60%)少ない。
コメ卸など販売段階にある在庫は前年同月より3万t(5%)少ない43万tで推移。このうち5年産が32万tあって前年同月と変わらず。4年産古米は6万tあるが、前年同月より2万t(25%)少ない。未検査米の在庫が6万tで、前年同月を1万t(17%)下回っている。
過去6年間における3月末の民間在庫(出荷段階と販売段階の合計)は、平均で247万tと算出できる。今年3月末における在庫は、これより32万t(15%)の減少となっている。
過去6年間の平均で4~6月に61万tが消化されており、このペースであれば、今年6月末の民間在庫は昨年並みの154万tと試算できる。ただし、年明け以降の月間減少量は▽2月31万t▽3月29万t――と約30万tペースの減少ととなっており、過去6年より大きいため注意が必要だ。
2024年4月16日
全農などにコメ物流の課題を聴取
(食料産業政策委員会で自民党)
自民党は4月4日、東京・永田町の党本部で食料産業政策委員会(委員長=福田達夫衆議・群馬)の会合を開き、農産物・食品物流の「2024年問題」に向けた対策を検討した。
会合では、農水省の小林大樹・新事業・食品産業部長が、昨年6月に閣議決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」の方向に沿って、①商慣行の見直し②物流の効率化③荷主・消費者の行動変容――などが着手されている状況を報告。加えて、今国会で流通業務合理化・効率化法の改正が図られるほか、各業界で「自主行動計画」の策定・実施が進められるとともに、農水省内に設置された物流対策本部や官民合同タスクフォースにおいて対応が検討・強化されている状況などが伝えられた。
ヒアリングでは、全農の藤原敏彦経営企画部次長が農産物輸送における取組事例を報告。コメについて、▽一貫パレチゼーションシステムと全農統一フレコンの拡大推進による手荷役の削減▽JR貨物と連携したモーダルシフトの拡大▽共同配送による積載率の向上――などの取り組みを伝えた。
また藤原次長は、「パレット導入・施設整備費などの負担が生産者に偏らない対応」を求めた。より具体的に、「パレット負担ルールの整理や導入にかかる行政補助の強化」や「物流コスト上昇などに伴う農畜産物の適正な価格実現」を掲げた。
ヒアリングでは、味の素やミツカンなど食品メーカー6社との間で共同配送プロジェクトを推進する㈱F-LINE(東京都中央区)による報告もあった。
福田委員長は、農水省や全農など民間2者からの報告を踏まえ、飲食店で先行している電子データ共有の構築に言及。経産省や農水省など複数の省庁に分散した情報を電子レジストリ(デジタル証明)によって法務省の基本台帳に必要最低限な情報をまとめるとともに、EDI(電子データ交換)で必要な情報を追加していく仕組みに触れ、「行政だけでなく、業界とわれわれで議論させていただく。行政が取り組む部分と団体が取り組む部分を仕分けながら結果を出していく」意欲を示した。
2024年3月18日
主食用米「前年並み」過半の30県、「増加傾向」は5県に増
(1月末の令和6年産の作付動向)
農水省は3月5日、1月末時点の令和6年産の作付動向(第1回中間的取組状況)の調査結果を発表した。都道府県・地域(市町村)ごとの作付動向を聞き取って集計。主食用米は前年産実績比で「増加傾向」5県、「前年並み」30県、「減少傾向」11県となっている。
主食用米の「増加傾向」を示す産地は前年産では皆無だったが、6年産では北海道・青森・福井・滋賀・福岡の5道県で作付けが増える傾向にある。北海道・青森・滋賀は、「生産の目安」段階で前年産を上回る設定となっており、いわば想定内。福岡は生産の目安が前年産と同数量だが、作付意欲が高まっている。福井は生産の目安が前年産を下回っているが、作付意欲が前年産を上回る傾向にある。
作付動向が「前年並み」の産地は宮城・秋田・山形・福島・茨城・千葉・新潟・兵庫など30県で、過半を占めているが、前年より5県減少。北海道・青森・福井・滋賀・福岡の5道県が前年産での「前年並み」から6年産では「増加傾向」に転じたことによる。
「減少傾向」を示す産地は、前年産より1県減って11県。前年産で減少傾向にあった岩手・京都・広島・徳島・熊本の5県が6年産で「前年並み」に移行。入れ替わる形で、前年産で前年並みだった山梨・岡山・山口・宮崎の4県が6年産で「減少傾向」にシフトした。大阪・島根・香川・長崎・大分・鹿児島の6県は、前年産に続いての減少傾向となる。
農水省は産地別の作付面積の動向を◎1%超増加(増加傾向)=「↗」▽増減1%未満(前年並み)=「➝」▽1%超減少(減少傾向)=「↘」――と整理。これを参考に増加傾向県・減少傾向県のそれぞれに1%の変化を加えた場合、5年産の作付実績から試算すると、全国合計で微増(300ha増)も見込まれる。前年並みの産地でも「主食用回帰」の流れで1%未満の幅で前年を上回れば、全国で9,000ha弱(5万t弱)の増加も見込まれる。
一方、加工用米や新市場開拓(輸出等)用米、米粉用米、WCS(稲発酵粗飼料稲)、麦の作付動向は、増加傾向か前年並みの県が多い。飼料用米と大豆は、前年並みか減少傾向の県が多くみられる。
2024年2月29日
堂島取引所がコメ先物の本上場を申請
(6月認可なら8月に開始)
㈱堂島取引所(村田雅志社長、大阪市)は、2月21日付けで農林水産大臣と経済産業大臣に上場の認可を申請した。特定の産地品種銘柄を上場するのではなく、農水省が毎月公表している相対価格を基準に算出した平均価格に基づき、爽籟における数値として算出した「米穀指数」を取引の対象にする。
また今回は、期間が限られる試験上場を経ることなく、本上場を申請。6月までとみられる農水省の判断で認められれば、8月には10月限から1年先までの指数先物取引を開始したい考えにあり、行方が注目される。
玄米1俵(60kg)当たり単価の指数を対象とし、取引の呼値は10円単位に設定。取引単位は約定数値の50倍、50俵とする。
関係方面からの情報を集約すると、「米穀指数」については今後、生産・集荷団体や流通団体・学識経験者など業界関係者で構成する委員会において具体的な詰めを行っていく。指標に関しては、構成対象銘柄の要件や決定方法、算出・公表方法などを検討し、3月末までに結論を得る予定という。
また指数取引のため本来、現物受け渡しによる決済は行われないが、既存の現物市場との連携で当業者が活用できる仕組みの構築も検討されていると伝わる。
コメ先物取引は平成23年8月、72年ぶりに復活。以降は2年ごとに計4度の試験上場を繰り返し、「東京コメ」「新潟コシ」などを標準品として取引した。令和3年7月に本上場を申請したが、農水省が不認可と判断したため、上場廃止が決断された経緯がある。
2024年1月22日
作付け前年並み126万ha、生産見込みを5万t上回る
(令和6年産米「生産の目安」)
農水省は1月16日、各都道府県農業再生協議会が作成した令和6年産主食用米の「生産の目安」(=生産基準数量)を集約し、開示した。本紙の試算では、全国合計で674万3000tほどの生産が見込まれ、前年産目安差で8300t(0・1%)ほど上回る。面積換算は126万1000haほどとなって前年産目安を1100ha(0・1%)ほど下回るが、作付実績比では1万8800ha(1・5%)ほど上回る。
本紙試算では、5年産の目安数量との比較で「増加」する産地が、北海道・秋田・福島・新潟・富山など11県。「減少」する産地が、宮城・埼玉・福井・山梨・愛知・京都・香川・熊本・大分・鹿児島など16県となる。5年産の目安数量のまま据え置く産地が、岩手・山形・千葉・石川・福岡など20県となっている。
面積換算では、5年産の目安との比較で「増加」が北海道・福島・富山・三重など10県。「減少」が愛知・香川・熊本・大分・鹿児島など18県。宮城・秋田・山形・栃木・千葉・新潟・石川・兵庫・福岡など19県が「据え置き」の設定となる。
一方、5年産の作付実績面積との比較では、「増加」が北海道・茨城・群馬・滋賀のほか、北陸3県、九州(大分を除く)など30県に及ぶ。「減少」が栃木・静岡・兵庫など14県。「据え置き」は福島・香川・高知の3県のみにとどまる。
試算される6年産主食用米の目安数量の全国合計は、昨年10月時点の農水省の需給見通しに掲げられた生産見込数量の669万tを5万3000t(0・8%)ほど上回る。面積換算では5年産目安を1100ha(5800t相当)ほど下回るが、5年産作付実績との比較では1万8800ha (10万㌧相当)上回る可能性が出てきた。
2023年12月18日
作況101、主食生産量661万㌧で確定
(令和5年産米12月最終作柄概況)
農水省は12月12日、令和5年産水稲の最終作柄を全国作況指数101の「平年並み」と発表した。5年連続平年作が確定した。主食用作付面積は124万2000㌶(前年比9000㌶=0・7%減)で、収穫量は661万㌧(同9万1000㌧=1・4%減)。6年6月末民間在庫量は176万㌧で、今年6月末(197万㌧)からさらなる在庫縮減が見込まれる。
農業地域別作柄は、▽北海道104▽東北101▽北陸97▽関東・東山102▽東海99▽近畿100▽中国101▽四国101▽九州101▽沖縄103――で、沖縄以外は前回と同じ。沖縄では生産量は限られるものの第2期稲が作況130の高指数をマーク。都道府県別作況指数も沖縄以外は前回作柄と同じだった。
最終作柄で初公表される水稲の気象被害・病虫害など被害概況(=同一地域における複数被害は重複計上)では、「高温障害」面積が全国99万4000㌶に達し、「日照不足」面積(84万5200㌶)を上回り1位被害となった。被害面積では日照不足が最も多いのが毎年通例で、高温障害が日照不足を抜き去るのは極めて異例だ。
水稲の被害統計で高温障害が単独項目として区分され、被害分類がいまの形になったのは平成14年産から。それ以降で高温障害面積が最も大きかったのは、昨年まで歴代1位猛暑年だった平成22年産の97万7500㌶だった。今年は22年を大幅に上回る史上最高猛暑として記録を塗り替えた中、高温障害面積でも22年産を上回り、過去最大規模の約100万㌶に上った。
被害量でみると、日照不足19万2700㌧が高温障害19万2300㌧をわずかに上回った。その他被害では、▽イモチ病20万4900㌶・4万5700㌧▽カメムシ17万6700㌶・2万5000㌧――が多かった。
農水省10月基本指針に主食用収穫量661万㌧(確定値)を当てはめると、6年6月末在庫見通しは10月作柄段階と同じ176万㌧。年10万㌧規模のコメ需要減が続く中では需給均衡ライン内とされ、6月末在庫は4/5年で21万㌧減少したあと、5/6年でさらに21万㌧の在庫縮減に向かう。
一方、作柄統計上は宮城105、北海道・岩手・栃木・熊本104など高作況も一部みられる5年産だが、北・東日本の大産地を中心に豊作ムードは出来秋から薄く、多くの産地で「作況ほど穫れていない」という声が根強くある。
外食コメ需要が復権し、米価はB銘柄を中心に依然ジリ高で推移。価格上昇の反動で起こり得る需要「下振れ」気配も現状では薄い中、高温障害→精米歩留り減少で来年6月末在庫が想定を割り込みかねない「絶対量不足」も懸念されている。被害面積でも過去最大規模が確定した5年産高温障害が現実のコメ需給に及ぼす影響の度合いが今後の焦点になりそうだ。
2023年11月13日
1㌽上昇で作況101「平年並み」も、収穫量9万1000㌧(1・4%)減に下方修正
(令和5年産米10月25日作柄概況)
農水省は10日、10月25日現在でみた令和5年産水稲の作柄・予想収穫量等を発表した。北・東日本を中心に多くのコメ産地が「史上最も厳しい猛暑」を経験した中、晩生・九州をはじめ西日本作柄が前回予測より向上。全国作況指数101に1㌽上昇し、5年連続「平年並み」がほぼ確定した。主食用予想収穫量は661万㌧、6年6月末民間在庫量は需給均衡ライン内とされる176万㌧で、さらなる在庫縮減が見込まれる。
農家ふるい目幅作況収量は九州など主に西日本で前回より増加したが、収穫量にかかわる1・70㍉収量は北日本と関東・東海・中国などで減少したため、作況指数アップと収穫量ダウンが同時に起こった。収穫量の前年差は前回7万7000㌧(1・1%)減から9万1000㌧(1・4%)減へと1万4000㌧も下方修正された。
なお1・70㍉ベースでは100を切る「99」相当に。農家ふるい目幅作況と1・70㍉作況が2㌽も離れるのは極めて異例だ。
北海道104、関東・東山102の両地域だけが豊作「やや良」。高温渇水・フェーン・高夜温など猛暑の影響を強く受けた北陸が97「やや不良」となり、全国唯一の不作地域となった。東北は101「平年並み」。東海以西はすべて平年作となった。
ただし西日本の農業地域作況は近畿・四国が前回比1㌽、九州は99→101で2㌽アップ。西日本は6~7月前線大雨や日照不足の影響があったものの、その後の天候に恵まれ、作柄好転が顕著となった。
都道府県の作柄内訳は次の通り。▽「やや良」=18都道府県(前回13道県)=宮城105、北海道・岩手・栃木・熊本104等▽「平年並み」22府県(同24都府県)▽「やや不良」7県(同10府県)=新潟・鳥取95、愛知96、秋田・滋賀97等。豊作県が増え、平年作~不作県が減少した。
北・東日本作況は前回並み~指数低下が目立ったが、西日本は前回並み~指数上昇が多く、近畿以西23府県中15府県がアップ。とくに九州では熊本が4㌽、5県が2~3㌽アップし、九州7県中3県(熊本104、佐賀103、長崎102)が豊作産地に転じた。
全国作柄は「豊作寄りの平年作」となったが、収穫量は下振れし、需給は均衡局面からもう一段引き締まる可能性もあるほか、価格上昇に伴うコメ需要減、先の市況折り返しにも要注意といえる。
10月25日現在作柄概況に基づき、本紙が主食用ベースで試算した作況ふるい下玄米(1・70㍉上~作況ふるい下=都道府県別)の発生量は前年比9万㌧(3割)少なく、全国22万㌧にとどまる見込み。減少幅は前回より拡大した。
2023年10月18日
作況100も、北・東日本の日本海側・太平洋側で明暗
(令和5年産米9月25日作柄概況)
農水省は13日、9月25日現在でみた令和5年産米の作柄概況を発表。全国作況指数100の「平年並み」を見込んでいる。北・東日本を中心とする未曾有の猛暑やフェーン乾燥高温などの影響を受けた北~西日本の日本海側産地で不作が際立つ。フェーンの影響がなかった北・東日本の太平洋側などでは104~105の豊作予測に。全国猛暑でも明暗が分かれ、豊凶が相殺される形で5年連続の全国平年作が見込まれる。主食用収穫量は基本指針669万tより7万tほど少ない約662万tに抑制される見通しだ。
8月上旬から9月上旬にかけてフェーンや・渇水など苛酷な気象にさらされた北陸が作況97「やや不良」となり、唯一の不作地域に。逆に猛暑が増収に作用しやすい北海道(104)や、太平洋側の関東・東山(102)は「やや良」となった。東北は日本海側不作を太平洋側豊作が補う形で101「平年並み」を保った。
県別の内訳は、「やや良」13道県、「平年並み」24都府県、「やや不良」10府県。全国最低は「やや不良」範囲の下限となる新潟・鳥取の95。新潟はフェーンを含む危険な猛暑に加え、5月下旬の低温寡照も響いた。北陸では富山・福井も98、また福井と隣接する滋賀も97の不作に。鳥取は高温のほか5~7月の日照不足が影響した。いずれも日本海側産地だ。一方、全国最高指数は宮城・栃木で、「やや良」上限の105。北海道・岩手104が続く。
東北最大の日本海側産地・秋田は97。2年連続不作だ。最高作況105の宮城が前年比1万8800t(6・1%)増、栃木が1万7100t(7・0%)増。太平洋側産地の豊作増産が浮かび上がる。一方、予想収穫量のマイナスをみると、新潟が前年比2万8400t(5・2%)減で突出。富山が9300t(5・3%)減、前年が大豊作だった北海道が9200t(1・9%)減、滋賀8800t(6・1%)減などと続く。
最高作況105となった宮城だが、県内のJA関係者は「収量は並み程度。人によっては『やや不良』で現場に豊作ムードはない」と話す。1等比率は8割台を確保。青森(102)のJA関係者は、「収量は平年並みか少し落ちる。1等は5割程度で、落等要因は高温による白未熟系が大半」と説明する。
農水省が7月指針で示した5年6月末の民間在庫量197万tに予想収穫量662万tを足すと、5年7月/6年6月総供給量は859万㌧。ここから5/6年需要見通し681万tを引くと、来年6月末在庫見込みは178万t。19万tの在庫縮減が進む。6月末在庫が180万t水準まで減少するのは東日本大震災の影響があった平成24年以来11年ぶり。180万tを割るのは16年ぶり。
また9月25日現在作柄概況に基づき、本紙が試算した5年産ふるい下玄米(1・70mm上~作況ふるい下=都道府県別)の発生量は全国約25万tとなる見込み。前年より6万t(2割弱)ほど少なく、多くの産地がふるい下激減に直面する状況を裏づけた。
2023年9月4日
5道県「やや良」、34県「平年並み」
(令和5年産米8月作柄)
農水省は8月31日、令和5年産水稲の8月15日現在作柄概況を公表した。3年産から8月作柄での実測調査を廃し(西南暖地の早期米等のみ実施=作況指数公表)、気象・人工衛星データ等から作成される予測式に基づく「作柄予測」に変更しており、46都道府県の作柄良否は、「やや良」が北海道と東北太平洋側3県など5道県。一方、「平年並み」は秋田・新潟をはじめ東北日本海側と北陸・関東全県を含む34都府県に上った。九州など7県は「やや不良」を見込んでいる。
田植期以降おおむね高温・多照で推移し、出穂期までの天候に恵まれた地域がある半面、「6月から7月にかけての梅雨前線や台風第6号による大雨等の影響が見込まれる地域もある」と説明する。高温の影響で出穂最盛期は平年より北日本で最大6日、東・西日本でも同5日早まった。
北・東日本を中心に「史上最も暑い夏」となり、9月も「猛烈残暑」が当面続くと予測される中、5年産はコメ品質・収量のダブル低下が心配されている。高温による登熟不良のほか、「高温不稔」レベルの異常高温(開花期35度以上など)に遭遇したり、少雨・渇水被害に直面する産地もある。歴代猛暑年(平成22年産、30年産)は高温減収も響き、ともに作況98の不作だった。
今年は北海道や北東北でも高温障害が強く懸念されているほか、作柄調査上、高温障害が全国で多発しても作況低下には反映されにくく、豊作指数と実収量にギャップが生じる可能性もある。歴史的な苛酷猛暑における作柄推移が注目される。
なお4年産ではデータ予測の8月作柄から実測調査に基づく9月作況指数にかけて大きな変動もみられた(北海道=8月作柄「平年並み」→9月作況106、栃木=「やや良」→97など)。実測調査に基づく5年産作況指数は次回9月25日現在で初公表される。
2023年8月10日
米価上昇で主食回帰、福島・栃木「増加傾向」
(令和5年産米6月末作付意向)
農水省は7月31日、令和5年産米などの作付意向(第3回中間的取組状況)調査結果を発表した。6月末の集計で、4年産実績比で主食用米は「減少傾向」が24県、「前年並み」が21県だが、「増加傾向」が4月末のゼロから今回2県に増えている。
5年産主食用米の作付動向は、4年産の実績と比べて▽減少傾向(1%超減少)=岩手・長野・岐阜など24県▽前年並み(増減1%以内)=北海道・青森・宮城など主産地を含めた21県▽増加傾向(1%超増加)=福島・栃木の2県。全体的には、前年並み~減少傾向が強い。
4月末の第2回調査における「前年並み」から今回「減少傾向」にシフトした産地は、長野・岐阜・兵庫など7県に及ぶ。4月末の「減少傾向」から今回「前年並み」に後退している産地はみられない。福島・栃木は、4月末の前年並みから増加傾向に後退した。
主食用米以外の戦略作物では、次の品目で「増加傾向」を示す県が最も多い。▽加工用米20県▽新市場開拓(=輸出)用米29県▽WCS(稲発酵粗飼料稲)44県▽麦25県▽大豆20県。WCSは「増加傾向」の産地が4月末から6月末にかけて11県増えた。一方、飼料用米は「減少傾向」を示す産地が4月末よりも9県増えている。飼料用米からWCSへの切り替えに加え、福島・栃木のように一部産地では価格上昇による主食用米回帰の動きがありそうだ。
本紙試算では、「前年並み」を4年産と同面積、「減少傾向」を1・1~1・4%減、「増加傾向」を1・1~1・4%増と仮定した場合、5年産主食用米の作付面積は4年産実績比で約5000㌶(2万㌧程度)減少する。ただし「前年並み」には「増減1%以内」と幅があるため、5年産主食用の作付意欲が該当の21県で微増(0・4%増)するなら、福島・栃木の増加分も合わせて、作付面積はほぼ前年並み(100㌶減)となり、数量ベースでは1万㌧ほど上回る想定もありそうだ。
2023年7月28日
前年比800円高で集荷スタート
(令和5年産宮崎コシヒカリ早期米)
令和5年産宮崎JA早期米仮渡金(1等60kg、税込み)が決定した。JA米コシヒカリの1期(7月25日まで)は1万4200円で、前年比800円高の設定。2期(7月26日~8月1日)は同1万3200円、3期(8月2~10日)は同1万2200円で、今年は4期(8月11~31日)まで設定されており、同1万1400円となっている。同じく早期米の夏の笑みJA米は、1等(~8月31日)1万1400円で、前年比400円高。いずれも一般米はJA米の300円安に設定されている。等級間格差は、2等は1等比300円安、3等は同1300円安、規格外は同2300円安。加工用米は一律3600円(~12月15日)で前年と同額。
コシの刈り取りは一番早い所で17日に始まったとされるが、19日現在はいったん止まっている。県央の生産者は、「25~26日頃から刈り始める予定」と話している。
関係者は、「今年の生育は、南九州は大きな気象被害がなかった。分げつも旺盛で茎数も比較的多く、安定している」と話し、平年並みという。
2023年6月16日
令和5年産主食用米「前年並み」大宗、平年作で670万t水準か
(4月末作付意向調査)
農水省は6月9日、令和5年産米などの作付意向(第2回中間的取組状況)調査の結果を発表した。4月末時点で集計したもので、4年産実績との比較で主食用米は「減少傾向」が17県、「前年並み」が30県となり、「増加傾向」を示す県はみられない。
5年産主食用米の作付動向は、4年産の作付実績との比較で▽減少傾向(1%超減少)=岩手・滋賀・岡山・福岡・佐賀・熊本など17県▽前年並み(増減1%以内)=北海道・宮城・秋田・新潟・富山・兵庫など主産地を含めた30県▽増加傾向(1%超増加)=ゼロ県。全体では、前年並みが大宗を占める。
1月末時点の第1回調査時点における「前年並み」から今回「減少傾向」にシフトした産地は、滋賀・鳥取・岡山・山口・福岡・佐賀・宮崎・沖縄の8県。また、1月末における「減少傾向」から今回「前年並み」に後退している産地は、栃木・広島・徳島の3県。
主食用米以外の戦略作物(飼料用米、麦・大豆など)では、「増加傾向」を示す県が最も多い。WCSは「増加傾向」の産地が1月末から今回にかけて13県も増加している。飼料用米は「減少傾向」を示す産地が1月末から9県増えて、ほぼ倍増。飼料用米からWCSへの移行が鮮明といえるが、一部では価格上昇による主食用への戻りもありそうだ。
本紙試算では、「前年並み」を4年産と同面積、「減少傾向」を1・1~1・4%減と仮定した場合、5年産主食用米の作付面積は4年産実績比で2800~3700㌶(1・5~2万㌧)減少する。ただし、「前年並み」には「増減1%以内」と幅があるため、4年産米価の上昇によって5年産主食用米の作付意欲が該当の30県で若干(0・4%)増えるとすれば、作付面積は1000㌶ほど増えて、生産量は需給見通しに対しわずかながら1万㌧上乗せの670万㌧とになるとも想定される。
2~3年産古米の在庫消化と並行しながらの今後の4年産の需要・消費・価格の動向に加え、5年産の実際の作付け、出来秋の作柄に注意が必要となる。
2023年5月29日
コメは「適正な価格形成」「備蓄」「輸出」施策が焦点に
(基本法検証部会が中間取りまとめ)
農水省は5月29日、東京・霞が関で基本法検証部会(部会長=中嶋康博・東京大学大学院教授)の第16回会合を開き、中間取りまとめを決定した。平成11年の制定から25年ぶりとなる食料・農業・農村基本法(基本法)の改正に向けた見直し方向を定めた。ウクライナ情勢を受け、食料安全保障や持続可能な農業の観点が色濃い。
基本理念では、国際的な食料安全保障の概念を導入。「不測時に限らず、〝国民一人ひとりが活動的かつ健康的な活動を行うために十分な食料を、将来にわたり入手可能な状態〟と定義し、平時から食料安全保障の達成を図る」と掲げた。
基本的施策では、「食料」について▽食品アクセス▽適正な価格形成▽食品産業の持続的な発展▽輸出施策▽備蓄施策――などを提示。
このうち「適正な価格形成」では、「フードチェーンの各段階でのコストを把握し、それを共有し、生産から消費に至る食料システム全体で適正取引が推進される仕組みの構築を検討する」とし、関係者間におけるコストの明確化を掲げた。
「輸出」では、▽輸出産地の形成などによる供給力向上▽品目団体や海外拠点の活用による市場開拓▽規格・基準の国際的なルールとの整合性――などを図る。
「備蓄」では、「国内需要、国内の生産余力や民間在庫、海外での生産や保管状況、海運等の輸送、特定国からの輸入途絶リスク、財政負担なども総合的に考慮しつつ、適切な水準を含め、効果的かつ効率的な備蓄運営の在り方を検討する」。
「農業」に関しては、「離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体を育成・確保」するため、▽個人経営の経営発展の支援▽農業法人の経営基盤の強化▽多様な農業人材の位置づけ▽重要に応じた生産▽経営安定対策の充実――などに取り組む。
このうち「需要に応じた生産」では、「米粉用米、業務用米などの加工や外食などにおいて需要の高まりが今後も見込まれる作物についても、積極的かつ効率的に生産拡大及びその定着を図っていく」方向を示した。
7月以降、一般から意見・要望を受け付けるとともに、10カ所ほどで地方意見交換会を開いた上で最終答申が行われる。コメでは、「適正な価格形成」「備蓄」「輸出」などや、「みどりの食料システム戦略」実現への施策が影響してくることが予想される。
2023年4月20日
コメ販売・取扱高は前年比9・1%減、「買取販売高」は17・2%減
(令和3年度「総合農協等一斉調査」)
農水省はこのほど、令和3事業年度における総合農協等一斉調査の結果を発表した。全国総合農協のコメ販売・取扱高は前年比9・1%(748億円)減の合計7469億円にとどまり、平成の米価暴落年(26年13・3%減、22年9・8%減)に次ぐ鋭い落込み幅となった。
3事業年度(3年4月~4年3月)は前年比18JA減の全国569総合農協が集計対象となった。3年のコメ販売・取扱高7469億円は6年ぶりに8000億円を割り込んだもので、3年産米の大規模な主食用削減(全国6・3万㌶)+米価下落や外食コロナ低迷などが影響したとみられる。
都道府県別にみると、コメ販売・取扱高の上位は、①北海道987億円②新潟841億円③山形565億円④秋田561億円⑤宮城433億円ーーなど。水稲収穫量では新潟が不動の全国1位だが、総合農協のコメ販売・取扱高でみると、系統利用高が圧倒的に多い北海道が例年同様トップだった。
ただし3年産では米価下落の深刻な影響に加えて、大産地・北海道など大半のコメ主産地が主食用作付けの大規模な深掘り削減を実施。作況108の大豊作だった北海道でさえ総合農協のコメ販売・取扱高は前年比12%減を記録。そのほか新潟9%減、山形5%減、秋田16%減、宮城7%減など軒並み大きく落ち込んだ。
ただし西日本では前年の2年産が不作一色だった経過があり、とくに九州では作況86大不作から3年産で平年作99へと大きく回復。それを反映し、長崎・大分・宮崎・鹿児島など前年を1~2割以上上回る県もあった。
一方、総合農協の調査項目として27年から設けられた「買取販売高」は前年比17・2%減の1028億円。買取販売高は金額ベースでは令和元年まで4年連続で増加したが、2年は前年比微減で頭打ちとなったあと、3年は1000億円割れに迫る2割近い大幅減少に転じた。
また全体に占める買取販売高の割合(買取販売率)では調査開始以来初めて前年(15・0%)を下回り、13・7%に低下した。今年10月からは消費税インボイス制度「農協等特例」で無条件委託・共同計算等が条件となることもあり、一時は増加していた農協買取販売高が今後さらに減少する可能性もある。
2023年3月10日
「減少傾向」12県どまり、作付転換に限界感も
(令和5年産の作付動向調査)
農水省はこのほど、1月末における令和5年産の作付動向(第1回中間的取組状況)の調査結果を発表した。都道府県・地域(市町村)ごとの作付動向を聞き取って集計したもので、主食用は前年産実績比で「減少傾向」が12県、「前年並み」が35県となり、「増加傾向」を示す県はない。
主食用米の作付けが減少傾向にある県は、前年産比で10県減少。4年産で5900㌶削減した北海道のほか、4000㌶削減した宮城、3100㌶削減した茨城、2600㌶削減した千葉など10県が前年並みに移行している。生産現場では作付転換に限界感が生じているとみられるほか、4年産の米価上昇を受けて生産意欲が喚起されている可能性もある。
昨年の同時期における4年産の場合とは異なり、主食用米の減少傾向の内訳について3段階(◎1~3%減◎3~5%減◎5%以上減)の整理は示されていない。仮に1~3%減として当てはめれば、作付面積合計は124万4000~9000㌶(前年比2000~6500㌶減)と試算できる。農水省が平年作ベースとして示している4年産生産量699万㌧と同程度か2万㌧ほど下回る生産が見込まれる。
ただしこれでは、4年産の生産量が前年産比で30万6000㌧(5万2000㌶)削減されているとはいえ、米穀周年供給・需要拡大支援事業(周年事業)で保管対象となった3年産古米(申請ベース40万㌧)を払拭する規模には及ばない。戦略作物の作付動向について増加傾向が多い県をみると、麦では23県、新市場開拓用(=輸出用など)米では18県、大豆では16県となった。これまで作付意向が強かった飼料用米は、減少傾向が前年比でゼロから10県に増え、前年並みが12県増えて25県に、増加傾向が21県減って11県にまで落ち込んでいる。
2023年2月16日
直近5年で2倍に拡大し、初の5万㌧台に
(令和4年のコメ・コメ加工品の年間輸出実績)
農水省は2月3日、令和4年の農林水産物・食品の輸出実績を過去最高の1兆4148億円(前年比14%増)と発表した。コメ・コメ加工品は原料米換算も含め5万3931㌧(17%増)、金額ベース613億円(17%増)で、初の5万㌧台・600億円台の大台に。コメ・コメ加工品の輸出実績は、最近の5年間で数量が1・9倍、金額が2・3倍に急拡大している。
【コメ】コメ(政府食料援助用を含まない商業用米)は2万8928㌧が輸出され、前年より6095㌧(27%)増加。輸出金額は73億8200万円となり、14億4900万円(24%)伸びている。海外では日本食レストランの店舗数が増加傾向にあり、アジアにおける店舗数が最も多い。近年は日系の中食・レストランチェーンや小売店の海外進出などを背景に、日本産米の海外需要が年々高まっている。
輸出数量の上位3カ国は、①香港9880㌧(前年比11%増)、23億4400万円(11%増)②シンガポール5742㌧(15%増)、12億0100万円(17%増)③米国4459㌧(99%増)、11億6900万円(87%増)。米国向けが加州の水不足などで急伸している。
【米菓】米菓(あられ・せんべい)は4523㌧(原料米換算3845㌧)が輸出されたが、前年を12%下回り、減少に転じた。輸出金額は55億0300万円(前年比2%減)に減少している。上位3カ国は、①米国1274㌧(10%減)、15億3900万円(5%減)②台湾945㌧(16%減)、11億5000万円(8%減)③香港548㌧(24%減)、7億1800万円(17%減)。
【日本酒】日本酒(清酒)は3万5895㌔㍑(12%増)が輸出され、原料米に換算すると2万0218㌧(12%増)となる。輸出額は474億9200万円(18%増)に拡大し、堅調な伸びだ。上位3カ国は、①米国9084㌔㍑(3%増)、109億3000万円(14%増)②中国7388㌔㍑(2%増)、141億6400万円(38%増)③韓国4054㌔㍑(68%増)、25億2300万円(68%増)。韓国の伸びが大きい。
【パック米飯など】パック(包装)米飯などは1384㌧(23%増)が輸出され、金額では7億9000万円(33%増)となった。香港・米国向けなどに大きく伸びている。上位3位まで、①米国545㌧(20%増)、2億5500万円(44%増)②香港312㌧(45%増)、1億7800万円(42%増)③台湾127㌧(4%増)、1億1500万円(16%増)。
【米粉と米粉製品】米粉と米粉製品(米粉麺など)は173㌧(原料米換算213㌧)が輸出され、輸出額が1億円(76%増)に。主な輸出先は、米国やドイツ・タイなど。
◆政府の「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に掲げられた「コメ・パックご飯・米粉および米粉製品」の分類で整理した輸出実績は、原料米換算数量で2万9868㌧(前年比27%増)、金額で83億円(26%増)。2025年(令和7年)の輸出目標125億円に対し66%の進捗だ。
2023年1月31日
特命随意契約で全農を指定
(困窮世帯向け東京都おこめクーポン事業)
東京都はこのほど、生活困窮世帯を対象にコメなどを現物支給する「東京おこめクーポン事業」の委託先として全農を特命随意契約によって決定した。今後、調達や配送などについて全農と協議し、2月中旬にも事業の詳細について公表する。
特命随意契約は、国や自治体が公共事業を発注する際、競争入札を行わずに、特定の業者を指定して契約を締結する方式を指す。都は、全農を指定した理由について、「大量のコメなどを欠品なく安定的に届けられるのに加え、生産者との結び付きが確かで、全国的な対応も可能なため」と説明している。
事業内容は、「物価高の影響を受けやすい低所得世帯の生活安定を図るため、国産のコメや野菜などの食料品と引き換え可能なクーポンを配布」するもの。専用申込サイトまたはハガキでコメや野菜などの申し込みを受け付け、食料品を自宅に配送する。2月に入ってからクーポンを配布する。
支援対象は、「住民税均等割が非課税の世帯」と「家計急変世帯」のいわゆる生活困窮世帯で、174万世帯がこれに該当する。1世帯につき1万円分の精米、25㌔相当分を3月から配送する。一部を野菜などに変更できるほか、25㌔相当のコメを複数回に分けて受け取ることもできる。都は、この事業のため、昨年末に令和4年度補正予算で296億円を計上している。
現在、コメなどの調達や配送について具体的な手法は決まっておらず、今後、全農と協議して詰めていく。2月中旬を目途に事業内容の詳細を公表・周知する予定。仮に精米だけが対象となった場合、4万3500㌧となり、玄米換算で4万8000㌧もの規模に及ぶと試算できる。都では、「コメを食べられない人もいて、野菜のメニューも用意して選んでもらうため、実際のコメの供給量はこれを下回る」とみている。
2022年11月24日
作況100「平年並み」も東北・九州が不作に
(令和4年産水稲10月25日現在)
農水省は9日、10月25日現在でみた令和4年産水稲の作柄・予想収穫量等を発表した。前回(9月25日現在)と同じ全国作況100「平年並み」がほぼ確定。半面、東北・九州という北と南の大産地が不作に転じた。予想収穫量は目標675万㌧より4万8000㌧少ない670万2000㌧で、前年差30万5000㌧減、前回からは微減が見込まれる。来年6月末民間在庫量は4年ぶりに200万㌧を下回り、需給均衡ラインとされる190万㌧台に収まる在庫水準を見込んでいる。
北海道106と西の2地域(近畿102、四国103)が豊作となった半面、東北と九州は前回99から98へとダウンし、沖縄を加えた3地域が「やや不良」の不作に。九州は元~2年産にかけて大不作を経験したが、東北が作況98以下まで落ち込むのは極めて異例で、平成16年産(東北作況98)以来18年ぶり。
北海道は全国最高作況で3年連続「良」の大豊作だが、「北の豊作」が近年続いていた中、東北では秋田が不作となり、前回96から95にダウン。東北最大産地の秋田が全国最低指数となった。地帯別では▽青森津軽97(前回同)▽秋田県北94(95)、県中央94(95)、県南97(98)▽山形最上98(99)、置賜97(前回同)――と6地帯が不作となり、うち秋田県北・県中央は北・東日本で唯一の作況94以下「不良」地帯となった。
今年は全国的な猛暑となったが、東北では6月の低温寡照や8月の断続的大雨・日照不足などで北東北や日本海側を中心に冷夏ムードも強く、穂数不足となったり、粒の肥大・充実が進まず登熟不良となったりした地域がある。東北は主食用作付削減が全国の3割近くを占め、作柄面でも不作に後退。東北の予想収穫量は前年比14万7000㌧(7・9%)少なく、全国減産量の5割近くを東北が占めた。
西日本では近畿が前回101から102に上昇。都道府県別にみると、作況102以上の豊作は東京・三重・大阪・兵庫・奈良・和歌山・山口・徳島・香川・愛媛の10都府県で、九州を除く西日本が中心。北の不作を近畿・中国・四国など西の豊作がカバーする珍しい年となった。九州では7県中5県が「やや不良」で、長崎・熊本は前回から2㌽低下した。
目標を超える主食用作付減に東北・九州など主産地不作も重なり、米価上昇に伴うコメ需要下振れの強い懸念もある。総物価高騰の中、米食回帰ムードなどを生かし、消費減退にハネ返ることのない価格転嫁が必要になっている。
2022年10月20日
作況100も予想収穫量30万㌧減少(令和4年産水稲9月25日現在)
農水省は14日、令和4年産水稲の9月25日現在における作柄概況を発表した。全国作況指数100の「平年並み」を見込んでいる。秋田の作況96、栃木97をはじめ、甲信・九州など計11県が不作見込みとなったものの、▽北海道・愛媛の106「良」をはじめ9都道県で豊作予測▽平年作は全国の6割近い27府県に上り、8月作柄(24県)より増加。とくに東・西日本では豊作寄りの作況101産地が多いーーなどの条件から全国ベース不作には至らず、4年連続で平年作を確保する見通しとなった。その半面、主食用予想収穫量は670万3000㌧にとどまり、平年作の中で前年比30万4000㌧(4・3%)の大幅減少に。主食用作付削減面積が当初予想を大きく上回ったためで、基本指針675万㌧より5万㌧少ない収穫量に抑制される見通しとなった。
農業地域別では、北海道が106で4年連続豊作(105以上の「良」は3年連続)となった中、東北は99で不作寄りの「平年並み」。豊作県がゼロとなった。東北最大産地・秋田は6月低温寡照などで不作が見込まれる。気候変動・温暖化が進み、豊作が3年続いてきた北日本だが、北海道と東北で明暗が分かれた。そのほか農業地域作況では四国だけが103「やや良」となり、東北から九州は99~101の「平年並み」、沖縄は「やや不良」となった。
主食用作付面積は125万1000㌶。主食用削減面積は当初目標(3万9000㌶)も6月末見込み(4万3000㌶)も上回り、前年から5万2000㌶も減少した。3年産(6万3000㌶)から数えると、2年間で11万5000㌶に上る主食用作付削減が実施されたことになる。
2022年8月1日
深掘りで4万3,000ha減、平年作なら673万t(6月末作付動向)
農水省は7月27日、令和4年産米などの作付意向調査(第3回中間的取組状況)調査の結果を発表した。全国の主食用米の作付面積を試算すると、約4万3,000ha減少する見込みで、需給均衡に必要な3万9,000haの削減に対し、4,000haの超過が達成(=深掘り)となる見通しだ。
6月末における4年産主食用米の作付動向は、3年産の実績と比べ◎減少傾向=北海道・宮城・栃木など40県◎前年並み=青森・静岡など7県◎増加傾向=ゼロ県――となり、減少傾向の県が大宗を占めている。減少傾向を示す県が4月末時点の調査から3県増えた。
減少傾向にある40県の内訳は、◎1~3%減=秋田・新潟・富山など22県◎3~5%減=岩手・山形・福島など15県◎5%超減=北海道・宮城・栃木の3県――となっている。1~3%減の県からの移行により、3~5%減少傾向にある県が4月末から11県増えている。
主食用米・備蓄米以外の戦略作物では、加工用米を除いて飼料用米・麦・大豆など多くの品目で増加傾向を示す県の数が多い。増加傾向を示す県は、◎飼料用米45県◎WCS用稲(発酵粗飼料稲)42県◎大豆31県――など。
増加傾向にある県の数は、4月末と比べて◎WCS用稲9県増◎飼料用米3県増◎米粉用米3県増――などで、
WCS用稲が大幅に伸長。ウクライナ情勢による輸入飼料原料価格の高騰がエサ米需要を高め、また輸入小麦の価格上昇と輸出に有利な円安進行が米粉需要を高めているとみられる。
農水省は、4万3,000haの作付面積の減少を織り込んだ平年作ベースの4年産主食用米の生産量を673万tと試算している。3年産の平年作換算696万tから23万t減少する見込み。しかし、4年産米の作柄動向や新型コロナ感染症拡大の第7波による需要への影響など需給上の不確定要素が残っている。
2022年6月16日
主食用米減少37県も、需給均衡に4,000ha未達(4月末作付動向)
農水省は6月2日、令和4年産米などの作付意向(第2回中間的取組状況)調査の結果を自民党の農業基本政策検討委員会(委員長=小野寺五典衆議・宮城)の会合で報告し、同日公表した。党の会合での農水省・平形雄策農産局長の説明によると、「全国の主食用米の作付面積を試算すると、3年産の作付実績から約3万5000㌶の削減となる見込み」。コメの需給均衡に必要な3万9000㌶に4000㌶未達だ。
4月末における4年産主食用米の作付動向は、3年産作付実績との比較で▽減少傾向=北海道・宮城・栃木など37県▽前年並み=青森・岐阜・兵庫など10県▽増加傾向=ゼロ県――となり、減少傾向にある県が大宗を占める。前回の1月末調査時点と比べて前年並みが15県減り、減少傾向が15県増えた。
減少傾向の程度ごとの整理では、▽1~3%減少=秋田・福島・茨城など30県▽3~5%減少=岩手・山形・千葉など4県▽5%超減少=北海道・宮城・栃木の3県。
主食用以外の作物では、すべての品目で増加傾向を示している県の数が最も多い。具体的には、▽加工用米21県▽新市場開拓用米(輸出用米など26県▽米粉用米24県▽飼料用米42県▽WCS(稲発酵粗飼料)用稲33県▽麦27県▽大豆30県。1月末時点から飼料用米が10県増、WCS用稲が16県増と大きく伸びている。
備蓄米は、4月に実施された政府買入入札の結果が反映される形で増加傾向を示す県が1県増えて6県に。
農水省による需給見通しでは、令和5年6月末の民間在庫を196~200万㌧(特別枠保管分15万㌧を除いて181~185万㌧)に抑えて需給均衡を図るためには、4年産主食用米の生産量を675万㌧まで21万㌧(平年作換算の3年産比)、面積で3万9000㌶削減する必要がある。
2022年2月17日
経産省が「事業復活支援金」の交付申請受付を開始
経産省はこのほど、中小法人・個人事業者を対象とした「事業復活支援金」の給付申請の受け付けを開始した。コロナ禍の影響によって売上高が半減などした場合、中小法人に250万円、個人事業者に50万円まで給付する。申請を5月31日(火)まで受け付ける。
同支援金の給付対象は、コロナ禍の影響を受けた事業者のうち、昨年11月~今年3月のいずれかの月(対象月)の売上高が、平成30年11月~昨年3月の間の任意の同じ月(基準月)の売上高と比較して①「50%以上」②「30%以上50%未満」――減少した場合となっている。
給付額は、「(基準期間の売上高―対象月の売上高)×5カ月分」で算出される。この場合の「基準期間」とは、▽平成30年11月~31年3月▽令和元年11月~2年3月▽2年11月~3年3月――のいずれかの期間(基準月を含む)。給付の上限額は、中小法人などが250万円、個人事業者が50万円。
給付対象となるコロナ禍の影響として次の9類型を提示している。
①国や地方自治体による自社への休業・時短営業やイベントなどの延期・中止その他のコロナ対策の要請
②国・地方自治体の要請以外で、コロナ禍を理由とした顧客・取引先が行う休業・時短営業やイベントなどの延期・中止
③消費者の外出・移動の自粛や、新しい生活様式への移行
④海外の都市封鎖その他のコロナ関連規制
⑤コロナ関連の渡航制限などによる海外渡航者や訪日渡航者(いわゆるインバウンド)の減少
⑥顧客・取引先が①~⑤、次の⑦~⑨の影響を受けたこと
⑦コロナ禍を理由とした供給減少や流通制限
⑧国や地方自治体による休業・時短要請やイベントなどの延期・中止その他のコロナ対策の要請
⑨国や地方自治体による就業に関するコロナ対策の要請。
問い合わせは相談窓口(フリーダイヤル0120・789・140)まで。
専用ホームページ(https://jigyou-fukkatsu.go.jp/)も開設している。
2021年8月23日
新潟一般コシ概算金1万2,200円、富山コシは2,000円引き下げ
系統組織による令和3年産の集荷価格が相次いで決定している。全農新潟県本部が各JAに提示した仮渡し価格は、一般コシヒカリが1万2,200円(1等60㌔、税込み、以下同じ)で2年産から1,800円(13%)安の設定。岩船コシも1,800円安、佐渡コシが1,700円安で同額の1万2,600円となった。魚沼コシは1万6,500円、新之助は1万5,200円にそれぞれ据え置かれている。こしいぶきは9,800円に1,900円引き下げられた。
全農富山県本部による出荷契約米の概算金(=JA手数料等を含まない価格)は、コシが1万1,000円、てんたかく・てんこもりが9,500円で、ともに2,000円引き下げられた。富富富の概算金本体はコシと同額の1万1,000円だが、流通基準を満たしたコメを対象に新設された加算金800円を上乗せして1万1,800円に設定されている。これは前年比で2,700円の引き下げとなる。
県域農協のJA福井県が集荷時に支払う内金は、コシが1万0,500円で前年から2,700円(20%)引き下げられた。ハナエチゼン・あきさかりなどB銘柄は3,200円安の9,000円に設定されている。
千葉のA農協が提示した通年の概算金はコシ8,000円で、昨年8月12~26日の第1期価格に比べて4,300円(35%)安。あきたこまち・粒すけは6,800円、ふさおとめ6,600円、ひとめぼれ6,200円、ふさこがね6,000円となり、それぞれ昨年の第1期価格または通年価格よりも4,500~5,200円安い設定となった。またB農協の通年買取価格は、コシが前年比3,800円(30%)安の9,000円。ふさおとめ・こまち・粒すけ・ひとめが7,700円で、ふさこがねは7,200円と通知されている。
2021年7月8日
自民党の会合で市場隔離に向けた意見が相次ぐ
自民党は6月29日に東京・永田町で農業基本政策検討委員会(委員長=小野寺五典衆議・宮城)を開き、コメ政策の推進状況について議論した。農水省は、4月末で令和3年産主食用米の飼料用等への作付転換が2年産の平年作換算から目指すべき6万7000㌶の約半分、3万7000㌶にとどまっている状況を報告。これに対し全中は、「2/3年に20万㌧需要が減少する」予想に加え、「4年6月末の民間在庫が国の需給見通し(約200万㌧)より50万㌧上回る」試算を示したほか、2年産について「周年事業に申請した長期販売分33万㌧に加え、3年11月以降に10~20万㌧の持越在庫が生じる」として緊急対策を要請。全農も、「元年産古米は6カ月で消化できたが、2年産古米在庫は40~50万㌧と見込まれ、倍の1年かけた消化となる」懸念を示して緊急対策を求めた。出席議員の多くから「30~50万㌧規模の緊急的な市場隔離」を求める意見が相次いだものの、農水省は「営農計画の提出期限(6月末)を待って作付転換状況を確認する必要」を強調。会合では結論には至らず、7月下旬の議論に持ち越された。
2021年5月19日
令和3年産主食用米の生産抑制へ農水省がキャラバン
農水省は5月13日に茨城・山形向けを皮切りに、コメの生産・集荷団体などを対象に「水田農業における需要に応じた生産・販売の推進に関する意見交換会」、いわゆる「地方キャラバン」をオンライン方式で開始している。
茨城向けの会議では、農水省が会合の前半に「卸への聞き取りによれば、3年産茨城米の取り扱いを元年産から3割減らす意向を示している」と強調。これ以降、山形・新潟向けでも、卸へのヒアリングに基づくとして「3年産の県産米の取扱数量は◇割削減される」生々しい状況説明から会合の進行がスタートするのがパターンだ。これを受けた意見交換では、全国団体の全中・全農が「6月末まで飼料用米を中心に作付転換を積極的に進めていく」方針を回答するケースが多い。
一方で、◎JAグループの取り組みだけでは限界がある◎低温倉庫の確保が困難◎水田リノベーション事業によって増産される加工用米の契約価格が下がって本末転倒◎販路を確保している担い手農家の生産まで削減するべきではない――などの問題点や課題も、意見交換の中から浮き彫りになってきている。
需給均衡を図るためには、3年産主食用米の生産量を2年産の平年作換算ベースから36万㌧分(6万7000㌶)削減する必要があることが強調されている。農水省は、産地交付金など補助金の活用によって飼料用米や輸出用米などの拡大を産地にあらためて要請しているが、予断を許さない情勢にある。
農水省は、同様なオンライン形式の産地キャラバンを新潟、千葉・青森、北海道、栃木、富山、そして6月2日開催の秋田まで産地のコメ生産・集荷関係者向けに開いていく予定にある。
2021年3月29日
銘柄の目視鑑定廃止/4年後から書類審査へ
農水省は3月24日、都内で「農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会」の第7回会合を開いた。
最も注目された「銘柄の検査方法等の見直し」案については、「近年、新品種の開発が進んでコメの品種数が増し外観が似ている品種も多くなって目視による銘柄鑑定の困難度が増している」と課題を指摘。これに対処するため水稲うるち玄米の検査では、現在の「産地品種銘柄」や今後新たに設置する「品種銘柄」では目視による鑑定方法を改め、「農業者等から提出される種子の購入記録、栽培記録等の種類によって審査する方法に見直す」と説明した。具体的な提出書類を令和3年中に示すほか、実施時期を「4年産米から」と明示した。
他方、都道府県内で産地品種銘柄に設定されていない場合に銘柄証明ができない現状を改めるため、全国どこでも品種名のみを証明できる「品種銘柄」を設定する。
これらの見直しに連動して産地品種銘柄では、「目視鑑定が可能」という設定要件を廃止するほか、農産物の特性を把握するための栽培試験の期間を現行の2年から「1年」に短縮する。
設定後、取引ニーズのない品種銘柄や産地品種銘柄については、「すみやかに廃止する」案も示した。具体的には、「1年間以上、検査実績が1㌧未満」の銘柄は、関係者の合意を得た上で問題がなければ廃止する。
会合では、こうした案に多くの委員が賛意を示したが、森雅彦委員(日本生協連・特別商品グループマネージャー)は「農業者から提出する書類は、改正食品表示法で必要な根拠資料と同一に」と要望。栗原竜也委員(全農・米穀生産集荷対策部長)は「銘柄の間違いを目視で指摘できる場面もある。必須銘柄は目視も可能にしてはどうか」と提案した。農水省は会合で、より的確なチェック態勢に向けた情報提供と現状を踏まえた必須銘柄の目視鑑定手法の検討を回答している。
2021年1月22日
検査検討会で農水省が機械鑑定の新規格9項目案示す
農水省は20日に第5回「農産物検査規格・米穀の取引に関する検討会」を開き、「機械鑑定を前提とした農産物検査規格の策定について」素案を提示した。穀粒判別器による機械測定を前提として新たな検査規格を策定するもので、現行の目視による検査規格と同列に位置づける。対象は水稲うるち玄米。検査結果は現行規格1~3等の等級ではなく、測定した数値で示す。穀粒判別器の性能確認は民間の検査機関が行うが、その態勢が整うまで3~5年程度は国が行う方針にある。
新たに設定する検査規格は、①容積重②水分③白未熟粒④死米⑤着色粒⑥胴割粒⑦砕粒⑧異種穀粒⑨異物――の9項目。異種穀粒など機械測定が困難な項目は、目視による鑑定も行う。基本的には9項目すべてを証明する方針だ。技術的な課題を克服するため、専門家による「機会鑑定に係る技術検討チーム」を設置して令和3年以内に検討し、その結果を踏まえて農産物規格規定の改正を行う。
一方で検査結果は令和3年産から、現行の検査も含めて検査証明書に文字で記載されるだけでなく、農水省の共通申請システムを活用してID番号、QRコード、ICタグからスマホなどの端末で証明事項を表示・活用できるようにする。さらに5年産からは、農業データ連携基盤を活用してコメ卸などが検査結果を確認できる仕組みを構築する計画だ。
第5回会合では、このほかサンプリング方法の見直し、スマートフードチェーンとこれを活用したJAS規格の制定についても農水省案が提示され、意見交換を通じて委員からはおおむねの賛同を得た。農水省は2月予定の次回会合で留意事項を検討し、結論を得たい考えにある。
2020年12月26日
神明HDがSBI事業承継ファンドで浜松米穀に投資
㈱神明ホールディングス(藤尾益雄社長、神戸市中央区)はこのほど、事業承継ファンドを通じて静岡のコメ卸・浜松米穀㈱(川村眞一社長、浜松市中区、資本金1億円、昭和26年設立)に投資を行った。今後は浜松米穀の現経営陣をサポートし、両社が有する調達力、販売力、製造拠点、グループ商材を活用するとともに、課題を補完し合う態勢を構築して事業展開の強化を図る。浜松米穀の現経営陣は全員留任するが、営業強化を目的として神明HDから1名の社外取締役を派遣。浜松米穀の課題だった人材不足を補う形で協力関係の構築を目指す。浜松米穀は全国銘柄の調達を強化する。また両社は、物流網や新商品開発の面でも協力していく。
神明HDはかねてより、大手スーパーなどのバイイングパワーで価格決定権が握られるなどコメ供給サイドが厳しい立場に置かれている現状への対抗策として、業界再編を模索してきた。ただし神明HD自体が多方面に進出するだけでなく、「地方のコメ卸にもその地域で築いてきた信用などの財産、強みがある」(藤尾社長)として今年6月、中小コメ卸などの事業者を支援するSBI事業承継ファンドに出資していた。今回の出資はその第1号案件となる。ファンド名称は「SBI地域事業承継投資1号投資事業有限責任組合」で、ファンド規模は100億円以上。
2020年12月1日
中食業界が農相に面会し、米価への政治介入排除を要請
炊飯炊飯事業を行う米飯ベンダーを中心とする中食団体などの組織・国 産米使用推進団体協議会(平井浩一郎会長=日本惣菜協会会長)の代表者は先ごろ、野上浩太郎農相と面会し、コメ需給と米価形成、複数年契約、飼料用米政策などに関する要望書を手渡した。面会したのは平井会長のほか、日本炊飯協会の坂田文男会長と福田耕作顧問、日本べんとう振興協会の石原葵会長、㈱加工用米取引センターの佐藤孝社長。
要望書では要望書では、農家所得倍増を掲げた「政治誘導によって概算金が5年間で50%(約4,317円)上昇した」と指摘し、米価の形成に政治が介入しないよう強く求めた。大幅な消費減退を招く高米価政策を批判したほか、民間取引価格との乖離が大きくなっている複数年契約に関しても問題点を突き、「勝手に高く設定した現行の相対価格では契約できない」と主張した。また飼料用米に関しては、主食用米へのコンタミを避けるよう専用品種の生産は団地化を義務づけるよう求めた。米価維持のために行う2年産20万㌧の市場隔離(先送り販売)にも踏み込み、「JAグループなどに金倉助成を行うと聞くが、コメ卸にも事前契約を促した農水省の責任として相応に補填すべき」と要請している。
2020年11月20日
農水省がコメの販売促進緊急対策で問い合わせ対応
コロナ禍の影響による需要の減少も受けて需給が大幅に緩和したコメについて農水省は本紙既報の通り、国産農林水産物等販売促進緊急対策に中食・外食向けのコメを追加して支援を行うことを決めた。対象品目の数量などに関する事前確認書類の提出期限は対策のうち①「インターネット販売推進事業」が12月8日、「地域の創意による販売促進事業」が11月26日。①は事業の特設サイト
(https://www.ec-hanbai-suishin.jp/about/#target)への商品登録期限は12月11日、②の事業実施主体・博報堂(事業の特設サイト=https://chiikinosoui.jp/)への課題提案書の提出期限が11月30日となっている。また同省農産企画課による問い合わせ対応は11月21日(土)、同22日(日)、同23日(月)の各10~17時にも行われる。同課米穀需給班のEメールは「hansoku@maff.go.jp」。
2020年9月25日
主要産地品種の概算金600~1,000円下げ主流
2年産JA概算金(集荷価格)の設定が東北を含む主要産地で出揃った。全農新潟がコシのJA仮渡し価格を前年から一律で900円引き下げ、関東コシも800~1,000円安の1万2,000~2,500円設定で追随。北海道はゆめぴりかを据え置きとしたほか、ななつぼしが300円、きららが400円の下げに抑えられたが、東北コシ・こまち・ひとめはおおむね600~800円安の1万2,100~2,600円に下方修正された。青森つがるロマンは1万1,600円、同まっしぐらが1万1,400円にそれぞれ800円下げ。関東産B銘柄についても、1万1,000~1,600円水準に1,000円の引き下げで足並みが揃っている。
2020年9月
要産地品種の概算金600~1,000円下げ主流
2年産JA概算金(集荷価格)の設定が東北を含む主要産地で出揃った。全農新潟がコシのJA仮渡し価格を前年から一律で900円引き下げ、関東コシも800~1,000円安の1万2,000~2,500円設定で追随。北海道はゆめぴりかを据え置きとしたほか、ななつぼしが300円、きららが400円の下げに抑えられたが、東北コシ・こまち・ひとめはおおむね600~800円安の1万2,100~2,600円に下方修正された。青森つがるロマンは1万1,600円、同まっしぐらが1万1,400円にそれぞれ800円下げ。関東産B銘柄についても、1万1,000~1,600円水準に1,000円の引き下げで足並みが揃っている
2020年8月
主要産地のコシJA概算金据え置き~1,000円下げ
主要産地のコシJA概算金据え置き~1,000円下げ2年産JA概算金(集荷価格)が主要産地で相次いで決定している。全農新潟はコシのJA仮渡し価格を前年から一律で900円引き下げて一般1万4,000円、魚沼1万6,500円に。新之助は1,800円下げて1万5,200円に設定した。全農富山はB銘柄の概算金を200円下げる一方、コシは1万3,000円、富富富は1万4,500円の据え置きに。県域合併のJA福井県はコシの生産者に支払う内金を1万3,200円に据え置き、B銘柄は300円引き下げている。一方、千葉のA農協による生産者概算金はコシ1万2,000円(前年比1,000円安)、ふさおとめ・あきたこまち1万1,100円(1,300円安)、ふさこがね・ひとめぼれ1万0,600円(1,500円安)、粒すけ1万1,000円の設定。買取価格の設定は、各単位農協によってコシ1万2,800円、ふさおとめ・こまち1万2,600~700円、ひとめ1万2,500~600円、ふさこがね1万2,300円水準で、前年同期比で1,000~1,400円の下げ修正となっている。
2020年6月
2年産うるち米の検査対象は869銘柄に45銘柄増加
農水省は先ごろ、令和2年産米の産地品種銘柄を公表した。水稲うるち米は前年産から45銘柄増加して869銘柄に。農研機構育成の「つきあかり」が岩手・宮城・福島・千葉・福井・兵庫・広島の7県、「ちほみのり」が岩手・宮城・山形・兵庫の4県でそれぞれ新たに設定された。「つやきらり」「縁結び」「とよめき」は3県、「きぬむすめ」「ゆみあずさ」が2県で設定。名称が「福、笑い」に決まった「福島40号」のほか、千葉「粒すけ」、三重「なついろ」など各地の独自育成品種も続々と検査対象銘柄に加わっている。なお、水稲もち米は2銘柄増の134銘柄、醸造用は3銘柄増の226銘柄に。全体では新規56銘柄、名称変更1銘柄、廃止6銘柄となり、総計は50銘柄増えて1,229銘柄となっている(道府県別の必須銘柄・選択銘柄一覧は水稲うるち米・水稲もち米・醸造用別に(本紙4月6日号・9日号・13日号で掲載)。
2020年3月
ヤマタネ「チーム萌えみのり」10周年、2年産の産地連携1万1,500㌧へ
東京の大手コメ卸・㈱ヤマタネ(山﨑元裕社長、江東区)は先ごろ、宮城県栗原市内で第8回「萌えみのり栽培コンテスト」を開催した。岩手、宮城、秋田、山形、福島の提携先JA・生産者など約190人が参集。開始から10周年を迎えた産地連携の取り組みや課題を総括しながら、「チーム萌えみのりとして知恵と経験を研修して環境の変化に対応していく」(山﨑社長)方針を確認した。産地連携による元年産萌えみのりの取扱数量は約9,000㌧で、計画を若干下回った。2年産は1万1,500㌧の取り扱いを目指している。なお栽培コンテストでは食味・収量・品質・直播の4部門ごとに上位3人が表彰され、整粒値・食味測定値・収量の3点評価で最高得点となった高橋茂氏(JA秋田ふるさと)に最優秀賞が贈られた。